成長と分配

アダム・スミスの経済学は、各人の利己心が最大限に発揮できるような自由な市場経済制度のもとで、社会的見地からみてもっとも望ましい資源分配が実現するという考え方にもとづいていた。そこには、貧困とか分配の不公正に対する問題意識は影をひそめていた。分配の問題は、リカードによって経済学の中心的な課題とされたのであるが、さらに貧困、分配の問題を真正面から取り上げたのがカール・マルクスであった」

経済学の考え方 (岩波新書)